堀江貴文さんと落合陽一さんの共著『10年後の仕事図鑑』。
2018年4月発行でAmazonのランキングで上位にランクインしていたこともありました。
自分次第で、未来は幸福にも絶望にもなる
AIにポジションを取られる前に。動くのは、今だ
AI(人工知能)、仮想通貨、LIFESHIFT、ホワイトカラーの終焉……。
10年後どころから5年先すら予期できない今、今の仕事、会社、社会、キャリアはどうなるのか。
今世界で最も注目される日本人研究者落合陽一氏と、圧倒的な行動力で時代の最先端を走り続ける堀江貴文氏が、お金、職業、仕事、会社、学校など、今考えられる新たな社会の姿を余すところなく語ります。
私自身が事務系職であり、将来AIにとって代わられる代表的な仕事かもしれないという自覚もあることから、つい手に取ってしまいました。
感想・書評
クセの強さはあるものの核心をついている
堀江氏も落合氏も良い意味でクセが強く、口調もきついため、受け取り方は人によって大きく変わるかもしれないが、急変するこの時代の生き方について核心をついているといえると感じた。
AIが単純労働をはじめとした仕事を奪いに来るのは確実であり、そんな中でこれまで通り「普通」に生きていてよいのかという投げかけがある。
本書のタイトルでは「10年後の仕事図鑑」と仕事にフォーカスを当てているかのように見えるが、伝えたいこととしては、自分自身の生き方そのものについての話であるように感じる。
なくなる仕事・変わる仕事はその人の動き方次第
図鑑のように、なくなる仕事を「コンビニのレジ打ち」「書店」等のように列挙して今後の予測を書いているが、これ自身はこの本の本質ではない。
将来どうなるかなんてわからないし(著者も述べている)、こうなった場合、自分自身はどうするかを考えさせられることが本書の訴えたい部分ではないか。
事例紹介と提言が中心で、方法論はあまりない
主張や提言は十分に伝わるのだが、具体的にどう行動していくべきか、というところまでは踏み込めていないのは少し残念。
分量的な問題でそこまで踏み込めていないか、もしくは、そのあたりも自分自身で考えるように、ということなんでしょう。
両氏とも社会的知名度があるインフルエンサーであり、そのステータスに至るまでの過程は興味深いので知りたいところ(堀江氏は少年期に熱中した今の姿の原点について簡単に触れているが、十分ではないと感じた)。
ただ、それぞれの主張自体は的を射ていると思うので、未来を意識する動機づけに本書は最適。
すべてを受け入れずとも、頭の片隅には置いておきたい考え方
両氏の持論も数多く展開されており、内容にはやや偏りも見られるのは事実。
しかし、本質として問うている、与えられたことに埋没してしまわないよう「自分の頭で考える」、今の社会構造に疑問を持ち、自分の生き方を考えるという点は忘れてはならないことだと感じた。
このようなことを考えるきっかけを与えてくれた本書には感謝したい。
刺激的な内容からやや疑問符がつく部分もありますが、この本質に関心がある方は読んでみるとよいかもしれません。気づきがあります。
少なくともこの両氏が世の中、今後の動向をどう考えているかはわかります。
一方で、まさに「仕事の図鑑」的な内容を求められている場合は、やや期待とは異なる内容かもしれませんのでご注意を!